尋常性天疱瘡

ウィルスなどの外敵から身を守ってくれるはずの免疫・・・それが自分の体の成分を異物と勘違いして攻撃するために生じます。尋常性天疱瘡では口腔粘膜にも炎症をきたすことから、口内炎と間違えることも。

■どんな病気?
天疱瘡は何の前触れもなく、健康な皮膚にさまざまな大きさの水疱ができる病気です。天疱瘡には2つのタイプがあり、1つは大きな糜爛をつくる"尋常性天疱瘡"。もう1つには小さな水疱ができて、落ち葉のような落屑になる"落葉状天疱瘡"があります。副腎皮質ホルモン薬の登場によって、死亡率は劇的に改善されました。しかし、尋常性天疱瘡では5~10%の人が命を落とすなど、油断できない病気です。
■原因
血液中に含まれるタンパク質の一部「免疫グロブリン」が原因です。免疫グロブリンは本来ウィルスや細菌と闘うためのタンパク質ですが、その一部が自分の皮膚と闘い出すために皮膚が傷んでしまうとか。なお、尋常性天疱瘡では皮膚のデスモグレイン(細胞と細胞をつなぐタンパク質)3を攻撃し、落葉状天疱瘡ではデスモグレイン1を攻撃します。

しかし、なぜこのようなことが起こるのかは未だ解明されていません。本来の体質だけでなく、生活習慣や環境などの要因が加わって生じると考えられています。なお、この病気が遺伝することはまずないと考えていいでしょう。

■症状
天疱瘡の中で最も多いとされる「尋常性天疱瘡」では全身に発赤や水疱があらわれ、まるで重度のやけどを負ったようにみえます。また、皮膚の表面から大量の水分が失われたり、感染を起こしたりすることも。口腔粘膜もただれ、口内炎の痛みから食事ができなくなることもあるでしょう。一方、「落葉状天疱瘡」では全身に浅い水疱と糜爛が生じるものの、口の粘膜は侵されません。尋常性に比べて水疱も小さく乾きやすいので、皮膚に木の葉がついたように見えることもあります。

■検査と診断
多発する水疱やそれに伴う難治性びらん、口内粘膜に生じる痛みを伴うびらん、ニコルスキー現象(皮膚面を擦ると水疱が生じる)などの臨床症状に加えて、病理組織学的および免疫組織学的所見を組み合わせて総合的に診断します。

■治療法
天疱瘡の治療には、主にステロイドの内服治療が行われます。しかし、ステロイドは長期投薬や過量投与することで重篤な副作用を起こしかねません。一方、ステロイド薬の登場によって尋常性天疱瘡の死亡率が低下したのも事実です。最近では血漿交換療法が行われるようになり、ステロイドの投与量を抑えることが可能になりました。また、各種の免疫抑制薬やガンマグロブリン大量静注療法も有効とされています。

■対処法
現代医学において、天疱瘡を未然に防ぐすべはありません。天疱瘡と診断された場合には、日常生活における注意点がいくつかあります。まず、内服薬の自己判断による変更あるいは中止が最も危険とされ、絶対にしてはなりません。また、使用する薬剤とその副作用について十分理解し、兆候がみられるときはすぐさま医師に知らせましょう。治療には家族の理解および協力が不可欠なので、診断が確定したら病気の性質や治療法、予後についてきちんと説明してください。


このブログ記事について

このページは、口内炎研究者が2008年9月 7日 21:00に書いたブログ記事です。

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